髪の毛って成長していない時期があるって知ってましたか?
こんにちは、しょうへいの店西長岡店スタイリストの笠井です。
すっかり秋を感じるようになってしまいましたが、秋になると抜け毛が増えたなぁと感じる方が多いようです。本当に秋だから抜け毛が多くなるのでしょうか?
秋の季節に抜け毛が多い理由
「朝起きたら枕に抜け毛がびっしりついていた」
「排水溝のつまりをチェックしてみたら、つい最近取り除いたばかりなのに大量の髪の毛が絡みついていた」
…といった経験、皆さんもありませんか。
抜け毛に気づいても、必ずしも不安を抱える必要はありません。もしかしたら、その抜け毛の原因は季節の変わり目にあるかもしれないからです。
季節のなかでも、秋は特に抜け毛が多い季節。
夏場はなんともなかったのに秋になって急に抜け毛が増えだした方は、まずは自身の夏場の生活習慣を振り返ることで、自ずとその原因が見えてくることでしょう。
毛が生え変わる「換毛」による抜け毛
犬や猫を飼っていらっしゃる方はご存知でしょうが、彼らは気温が高くなってくると毛が短く生え変わり、低くなってくると毛が長く生え変わるといった特徴があります。この気温や季節に応じて体毛を調節する機能を「換毛」と呼ぶのですが、この換毛が人間でも起こっているのではないか、と言われています。
この説を裏付ける理由として、秋だけではなく同じく季節の変わり目である春にも抜け毛が多いことが挙げられます。
ヘアサイクル(毛周期)
髪の毛には、独自のサイクルで生えては抜けるを繰り返すヘアサイクルというものがあります。
健康な髪であれば、約3年から6年で「成長期」→「退行期」→「休止期」という一連の流れを経て脱毛します(このうちおよそ9割の期間が成長期です)。約2~3ヶ月ほどの休止期間を経ると抜けた部分からまた新しい髪の毛が生えてきて再びヘアサイクルを繰り返します。
以下にこのヘアサイクル(毛周期)をもう少し詳しく解説します。
☆成長期(3~6年)
成長期は、細胞分裂が活発におこり新しい髪の毛が太く長く伸びる期間です。健康な髪であれば一般的に3年から6年ほどこの期間が続きます。
成長期は、3段階に分かれます。
[成長期1]
髪が生まれる最初の段階です。古い髪が根元から離れると同時に、奥のほうでは毛母細胞が分裂を開始し、新しい髪をつくり始めます。
[成長期2]
奥のほうで新しい髪が成長し、古い髪を押し出そうとする段階です。この頃になると古い髪は簡単に抜け出るようになります。シャンプーやブラッシングで抜けるのは殆どこの時期の髪です。
[成長期3]
最後に古い髪が抜け落ち、新しい髪が長く太く成長する時期です。髪は成長期1~3まで毛母細胞が活発に働き一般(平均)的に男性なら約3~5年、女性なら4~6年育ち続きます。
※髪の毛のおよそ80%~90%がこの成長期の段階にあるといわれています。
※ヘアサイクルのうちこの成長期が短くなる症状をAGA(男性型脱毛症)といっています。女性でもホルモンバランスを崩し、男性ホルモンが優位に立つと同じ症状がおこります。近年、この女性のAGA(FAGA)が増えてきていると言われています。
☆退行期(2~3週間)
毛母細胞が寿命を迎え細胞分裂が減少し、髪が成長しなくなる段階です。やがて髪の毛が毛母細胞から離れて完全に成長をやめるまで約2週間~3週間かかります。
※髪の毛のおよそ1%ほどがこの退行期の段階にあるといわれています。
☆休止期(2~3ヶ月)
毛母細胞での細胞分裂が停止し、休止期に入り脱毛が始まります。成長が止まった後は、頭皮表面に向けてだんだん上に上がっていき、抜け落ちる準備をします。2~3ヶ月休止の状態が続いている間、奥では新しい髪の毛の製造準備が始まります。
各部位ごとに毛周期は違うって本当??
毛周期は部位によって異なってきます。最も、個人差がとても大きいので参考程度になります。最も人気な脱毛部位の場合、毛周期は以下のようになっています。
ワキ・・・成長期3~5か月休止期が3~5か月
腕・・・成長期が3~4か月休止期が3~4か月
ひざ下・・・成長期が4~5か月、休止期が4~5か月
毛周期のスピードについて
成長期・退行期・休止期を繰り返す毛周期は、全ての体毛が同じスピードで繰り返されているわけではありません。
体の部位によって毛周期のスピードは異なり、さらに同じ部位の中でもスピードが異なっています。
毛は2種類に分けられる
毛はその人の生まれ持った体質や生える部位によって、直毛や縮れ毛、細い毛、太い毛など様々な毛質が存在しますが、医学的には「性毛(せいもう)」と「無性毛(むせいもう)」の大きく2つの種類に大別されています。
【性毛(せいもう)】
性毛(せいもう)とは、思春期に生え始める毛のことを指します。代表的なものには、デリケートゾーンの毛や髭、脇毛、胸毛などが挙げられます。これらの毛の特徴は、太くて硬い毛質で生える方向が揃っておらず、一般的に毛周期が長いとされています。
【無性毛(むせいもう)】
無性毛(むせいもう)とは、思春期に関わらず子供の頃から生えている、髪の毛や産毛などの毛全般のことを指します。これらの毛の特徴は、細くて柔らかい毛質・生える方向が揃っていることであり、一般的には毛周期は短いとされています。
他にも部位別の毛周期
各部位に生える体毛の毛周期のスピードについて解説していきます。
【顔】
<眉毛・まつ毛>
眉毛やまつ毛の毛周期は、おおよそ2か月とされています。1日で約0.18mmと、毛の成長スピードが遅いことが特徴です。
<髭> 髭の毛周期は、おおよそ2か月とされています。眉毛やまつ毛と同じ毛周期ですが、1日の成長スピードが早いことが特徴です。
【髪の毛】 髪の毛の毛周期は、抜けてからおおよそ4か月とされています。1日で約0.3~0.4mm伸び、成長期が長く続くため、生え変わりが目立たないことが特徴です。
【腕・足】
指や手の甲を含めた腕や足の毛周期は、おおよそ3か月~6か月とされています。毛が皮膚の表面に現れてから、抜け落ちるまでの期間が長いという特徴があります。
【脇】 脇の毛周期は、抜けてからおおよそ4か月とされています。1日で約0.3mmと、髪の毛に次ぐ成長スピードが特徴です。
毛周期の休止期に抜ける髪は1日に平均50~100本
さて、頭全体の毛髪の中で、成長期にある毛は約85%、退行期にある毛は約1%、休止期にある毛は10~15%弱といわれます。
成長期にある髪が伸びる速度は1日に約0.3~0.4㎜。この速度は頭の場所によって違い、頭頂部のほうが側頭部よりも早いことが確認されています。
休止期に入ると、成長期に比べて毛包の長さは半分から3分の1程度になり、髪の毛は表皮近くまで押し上げられて、やがて抜け落ちます。しかし、再び毛包が育って髪を成長させ、同じ毛根からまた毛が生えて成長を続けていきます。
毛周期の休止期に入って自然に抜ける髪は1日に平均50~100本。洗髪時などの抜け毛の量を見て心配になることがあるかもしれませんが、50~100本程度の抜け毛はごく当たり前のことです。明らかにそれ以上多い抜け毛が気になる場合は、もしかすると薄毛のサインかもしれませんが、一般的には髪の毛は毛周期によって、抜けてもまたちゃんと生えてくるのです。
ちなみに、人の毛髪には、うぶ毛、軟毛、硬毛の3種類があります。うぶ毛は色素がなく、数ミリまでしか伸びない毛。軟毛は色素が薄く、細くて短い毛であり、硬毛は色素が濃く、硬くて太く伸びていく毛です。
AGA(男性型脱毛症)になると、頭部の硬毛が軟毛へと変化し、それが薄毛へつながっていくことになります。
頭に生えている毛は、全てが一度に伸びているわけでなく、ヘアサイクルで休んでいる髪の毛もあるようです。これからの時期抜け毛が多くなる方もいると思いますが、抜けた毛穴からは、次の髪が準備しているので安心して良いかと思います。
あまりに抜け毛が気になり、生えてくる様子がないようなら、早めにご相談くださいね。
Writer かちゃめぐ(笠井めぐ美)(かさい めぐみ)
Written by: かちゃめぐ(笠井めぐ美)(かさい めぐみ)